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Brand vs. Paxman @ newsnight

都知事選ももうすぐ。都民ではないので、投票権はないけれど、それにしても、ぱっとしない候補者の面々。これじゃあ、投票したくても投票したい候補者がいない、というジレンマもうなずける。

(余談だが、政策云々よりも、舛添さんのmisogynisticな発言こそ、現在の日本の政治の癌の象徴であると思ったりする。)

去年、イギリスの政治的左翼(左翼という言葉はあまり好きではないので、本当は「ガーディアンを読むような層」と言いたいところだが)の間で話題になったインタビューがある。TVパーソナリティのジェレミー・パクスマンとコメディアンのラッセル・ブランドの対談。その中で、ブランドがとても明確に「投票しない理由」を説明している。

ブランド曰く、投票するという事自体、現代の狭い政治のパラダイムに迎合するということだから、投票しないことで、オルタナティブな政治へのチャネルを探る。それが、彼が投票しない理由であり、彼の政治的立ち位置なのだ、と。

前回書いた、Multitudeの可能性に対する猜疑心と同じようなものを、ブランドの立ち位置にも感じるのだが、もう少し大きな視点で考えてみると、彼の主張はとても重要なこと、現在の民主政治の限界を的確に示しているように思う。つまり、現在の民主政治は限られた選択肢しか有権者に与えてくれないのである。だからこそ、都知事選においても「投票したいけれど、投票したい候補者がいない」というジレンマが生まれるのだ。有権者のそういったジレンマを解消しないまま行われる投票は、どれだけ民意を反映したものになるのだろうか?代議制民主主義という政治パラダイムは、その理想が提示するほど民意を反映するのだろうか?そもそも、我々の生活の様々な側面が多様化した時代の「民意」とは何だろうか?

そして、ブランドの主張に疑問を投げかけるとすれば、「投票しないこと」は本当に、現在の政治エスタブリッシュメントに対する有効な批判になるのだろうか?

私たちの一票は重要だ。私たちが現在の狭い政治パラダイムに組み込まれている限りにおいて。つまり、政治システムの外側に立ったら、私たちの一票も、主張も、ほとんど意味を持たないのである。残念ながら。民主主義の枠の外から現在の民主主義システムを批判し、変革することは、ほぼ不可能なのだ(革命でも起こさない限り)。

と、考えてみると、前回のSamir Aminの主張が、どうしても、一番、現実的に思えてくる。敗北を認めろ。そして、Change of the systemでもはなく、Change within the systemを目指せ、と。

そういうわけで、選挙権のある都民の皆さま、ぜひ、投票に行って下さい。投票したいけれど投票したい候補者がいなくても、マニフェストでもちらっと読んで、誰か、change within the systemを実現してくれそうな人に投票してほしい。

「問題としての民主主義」論に話しを戻すと、これは、別段新しい主張ではない。センのリベラル・パラドックス、アローの不可能性定理、シュミットの例外状況における委任独裁など、これまで多くの研究者の研究対象となってきた問題である。私なりに問題を整理してみると、大きく二つの限界が民主主義には存在する。

  1. 統治制度・統治システムとしての民主主義と理想としての民主主義の乖離。
  2. (前回も述べたが)民主主義の政治性、つまり、政治イデオロギーであるが故、民主主義というシステム・理想は「他者」無しには成立し得ない。民主主義は決してall-inclusiveではない。

シュミットの『政治的なものの概念』を思い出すが、彼の理論を意訳させてもらうと、如何なる政治体制も「異質者・他者」が存在する事に拠って、それら「異質者・他者」と対峙する事によってその政治的正当性が担保されるという。つまり、「政治性」とは「異質者・他者」の存在によって担保される「政治社会はこうであるべきという理想」のことである。シュミットが提示する例外状況における委任独裁については疑問が残るが、少なくとも、彼の「政治性」とはなにか、については、彼の理論は的を射ていると考える。ブランドの主張するような、現在の政治パラダイムの外側に立つ事は、つまり「異質者・他者」になることである。現在の政治パラダイムの他者が他者でなくなるには、新たなパラダイムを生み出す必要があるのだが、既存の政治に対する我々の猜疑心はそこまで熟していないように思う。

A

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